★妻有百三十三観音霊場

札所数 134(番号付き札所:133  客番・番外札所:1)
別称 妻在百三十三観音霊場
関連霊場 美佐嶋三十四観音霊場、倉俣三十三観音霊場、大井平三十三観音霊場、吉田三十三観音霊場
公式情報・事務局  
御開帳情報  
開創年・開創者 元禄4(1691)年 鳳仙和尚
縁起・由緒・開創経緯  
備考

・新潟県十日町市を中心とした、妻有地域の観音菩薩巡拝霊場となる。

・元々は4つの観音霊場だったが、開創とされる元禄4年、鳳仙和尚によってそれらが統合されて、この観音霊場が誕生した。

・戦後に結番札所が加わって全134札所となったが、名称は133のままが一般的のようである。

・名称は完全に統一されていないので、現在の妻有の表記も、古い妻在の表記も、いずれも目にすることが出来る。

・山間部かつ豪雪地帯であるため、お参りするには時期を選ぶ必要がある。

・多くが無人の札所であり、霊場としては廃れているといった現状である。

・観音菩薩の巡拝霊場ではあるが、観音様が現存しない札所もある。

・集落のお堂が札所の場合、集落そのものが廃村となっていることもあり、個人での参拝は困難である。

・それらに伴い、地域の集会所や公民館などに遷されて祀られているケースも多い。

・よって、当然のことながら御朱印は揃わない。

情報掲載日・更新日 公開:2020年07月01日  更新:2020年07月01日

 

札番 山・院・寺号 御本尊・霊場御本尊 宗派 住所 備考
1番 瀧沢山 智泉寺 十一面千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市昭和町3丁目24  
2番 智海山 水月寺 十一面観世音菩薩 曹洞宗 十日町市西寺町17-1 日和乞い観世音、1番の管理
3番 栽松庵 馬頭観世音菩薩 曹洞宗 十日町市高山331 地域管理、1番の末庵
4番 仙月山 常楽庵 十一面観世音菩薩(聖観世音菩薩) 曹洞宗 十日町市山本町2丁目 常楽会館、1番の末庵
5番 吉沢山 正念寺 聖観世音菩薩 真宗大谷派 十日町市神明町387-5  
6番 聖衆院 聖観世音菩薩 時宗 十日町市水野町388 7番の管理
7番 放光山 引接院 来迎寺 聖観世音菩薩 時宗 十日町市川原町823  
8番 江道観音堂 聖観世音菩薩   十日町市江道  
9番 露池観音堂 子安観世音菩薩   十日町市津池 津池集会所
10番 赤倉観音堂 千手観世音菩薩   十日町市赤倉 十二社神社の境内
11番 大池観音堂 如意輪観世音菩薩   (大池) 廃寺、7番に移動
12番 菅沼観音堂 千手観世音菩薩   十日町市菅沼  
13番 落之水観音堂 准胝観世音菩薩   十日町市八箇戊386  
14番 椌木観音堂 聖観世音菩薩   十日町市八箇辛815  
15番 長里観音堂 如意輪観世音菩薩   十日町市八箇庚  
16番 笹之沢観音堂 聖観世音菩薩   十日町市八箇丙  
17番 田麦観音堂 聖観世音菩薩   十日町市田麦887 熊野神社に隣接
18番 中出山観音堂 聖観世音菩薩   十日町市二ツ屋狢田 個人宅内
19番 二ツ屋観音堂 聖観世音菩薩   十日町市二ツ屋798付近 消防団器具置き場裏手
20番 志賀寺 阿弥陀堂 観世音菩薩   十日町市麻畑644  
21番 川治十王堂 地蔵菩薩   十日町市川治3353  
22番 塚原観音堂(観音寺) 千手観世音菩薩   十日町市川治992-8 墓地内のお堂
23番 琵琶懸観音堂 琵琶懸観世音菩薩   十日町市城之古1022 琵琶懸城の跡地、神明宮の西
24番 小黒沢地蔵堂 地蔵菩薩   十日町市小黒沢195 墓地内のお堂
25番 大沢山 慈雲寺 十一面観世音菩薩 曹洞宗 十日町市大黒沢1866  
26番 伊達十王堂 延命観世音菩薩   十日町市伊達甲235  
27番 牧脇観音堂(龍王島観音堂) 聖観世音菩薩   十日町市新宮甲1150  
28番 吉祥山 観泉院 聖観世音菩薩 曹洞宗通幻派 十日町市馬場戊112  
29番 野中観音堂 正観世音菩薩   十日町市新宮甲2561 十二社神社の参道脇
30番 市ノ沢観音堂 地蔵菩薩   十日町市馬場壬848  
31番 太田島観音堂 如意輪観世音菩薩   十日町市馬場916 太田島公会堂の敷地内
32番 馬坂観音堂 馬頭観世音菩薩   十日町市馬場丙 小牧神社東の林道途中
33番 馬場観音堂 十一面観世音菩薩   十日町市馬場乙583 墓地内
34番 水沢観音堂 聖観世音菩薩   十日町市馬場甲 墓地内
35番 広河山 泉龍寺 十一面観世音菩薩 曹洞宗 十日町市如来寺甲1961  
36番 白羽毛観音堂 聖観世音菩薩   十日町市白羽毛辰352 白羽毛バス停前
37番 倉下観音堂 聖観世音菩薩   十日町市倉下320  
38番 角間観音堂 聖観世音菩薩   十日町市角間未1056 角間のねじり杉
39番 清田山観音堂 聖観世音菩薩   十日町市清田山己1120  
40番 田代観音堂 十一面観世音菩薩   十日町市田代1222 田代バス停前
41番 重地観音堂 聖観世音菩薩   十日町市重地丁 重地公民館の脇
42番 草玉山 東光寺 十一面観世音菩薩 曹洞宗 十日町市倉俣甲1451 立木観音、魚沼33観音
43番 堂平観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町中深見 堂平遺跡
44番 源内山観音堂 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町中深見戌 源内山バス停西の畑内
45番 見玉観音堂 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町秋成9725  
46番 陀屋観音堂 聖観世音菩薩   (陀屋) 47番に移動
47番 中深見観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町中深見甲2143  
48番 深見山 龍源寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町中深見乙1118  
49番 船秀山 大龍院 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町中深見乙1188  
50番 松原観音堂 十一面千手観世音菩薩   中魚沼郡津南町中深見乙965  
51番 下船渡観音堂 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町下船渡丁甲1170 下船渡本村公民館
52番 大沢山 龍昌寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町芦ケ崎甲1836  
53番 西ノ堂 聖観世音菩薩   (西) 52番に移動
54番 小下里観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町芦ケ崎 田中橋の脇
55番 赤沢観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町赤沢3063  
56番 谷内観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡郡津南町谷内1213 谷内公民館
57番 杉本観音堂(熊野神社) 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町谷内1164  
58番 相吉観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町谷内3176-3 相吉公民館、相吉バス停前
59番 中子観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷子種新田1870 中子集落センター隣接
60番 日出山観音堂 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町結東巳40  
61番 岩戸洞窟観音 観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷宮野原 洞窟内の石仏
62番 加用観音堂 十一面観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷宮野原5850 加用集落開発センター内
63番 新屋観音堂 千手観世音菩薩   中魚沼郡津南町下船渡丁甲1170 51番の下船渡本村公民館へ
64番 小池地蔵堂 観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷宮野原4031付近 県道238号線沿い、墓地に隣接
65番 朴木沢薬師堂 薬師如来・聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷宮野原3028  
66番 般若院 三十三体観世音菩薩 本山修験宗 中魚沼郡津南町上郷宮野原1106  
67番 亀岡観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷大井平3552 亀岡集落センター内
68番 太平山 善福寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町上郷大井平2740  
69番 峯観音堂(峰の観音) 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷大井平2136付近  
70番 子種観音堂 馬頭観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷子種新田395-1  
71番 羽倉観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷寺石戊1174 安産子授け観音
72番 八幡山 吉祥寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町上郷寺石丙1300  
73番 足滝観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷寺石甲622 足滝集落センター内
74番 穴山観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町上郷寺石乙361-1 穴山集落開発センター内
75番 凍氷山 久昌寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町外丸丁128  
76番 善玖院 観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町外丸丙1727  
77番 善玖院 千手観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町外丸丙1727  
78番 鹿渡観音堂 聖観世音菩薩   中魚沼郡津南町三箇甲1143-4  
79番 善玖院 聖観世音菩薩 曹洞宗 中魚沼郡津南町外丸丙1727 照観音
80番 宮中観音堂 聖観世音菩薩   十日町市宮中己196  
81番 堀之内阿弥陀堂 観世音菩薩   十日町市堀之内戊1135  
82番 福聚山 慈眼寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市本屋敷丁739  
83番 安養寺 円通庵 聖観世音菩薩   十日町市安養寺285-1  
84番 願王庵 千手観世音菩薩   十日町市姿2968  
85番 鉢観音堂 聖観世音菩薩   十日町市真田1693 鉢ふるさと会館内
86番 高嶋観音堂 聖観世音菩薩   (高嶋) 87番に移動
87番 龍沢山 長楽寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市高島1724  
88番 玉重山 東光寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市南鐙坂1490-1  
89番 田中観音堂 聖観世音菩薩   十日町市南鐙坂1650付近 南鐙坂公民館の西
90番 水沢山 宝泉寺 釈迦牟尼仏 曹洞宗 十日町市小泉1051  
91番 不動寺 十一面観世音菩薩 天台宗 十日町市水口沢51  
92番 龍雲山 長福寺 釈迦如来 曹洞宗 十日町市中屋敷1168  
93番 松林山 相国寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市室島乙998  
94番 藤沢観音堂 釈迦牟尼仏   十日町市藤沢庚844 熊野神社の近く、元小学校校舎
95番 岩瀬観音堂 馬頭観世音菩薩   十日町市岩瀬子1538 個人宅内
96番 赤城山 清龍寺 千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市霜条591  
97番 山田観音堂 聖観世音菩薩   (山田) 96番に移動
98番 鶴吉地蔵堂 地蔵菩薩   十日町市鶴吉182 墓地入り口の小堂
99番 積雲山 長安寺 千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市上野甲2941-3  
100番 上野観音堂(宗祐庵) 十一面千手観世音菩薩   十日町市上野甲1045 個人宅内
101番 白雲山 長徳寺 千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市友重乙170 越後33観音
102番 三領釈迦堂 釈迦牟尼仏・聖観世音菩薩   十日町市三領567 十二神社の隣
103番 仁田観音堂 阿弥陀如来   十日町市仁田2598 熊野神社の社殿内
104番 如意庵 如意輪観世音菩薩 曹洞宗 十日町市仁田2422 廃寺、仁田公民館内
105番 清浄庵 地蔵堂 地蔵菩薩・聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市野口492  
106番 宝慶山 円蔵寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 小千谷市真人町乙661-1 泡観音、魚沼33観音
107番 源藤山観音堂 聖観世音菩薩   小千谷市真人町甲1808 交差点のお堂
108番 白雲山 正応寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 小千谷市真人町戊3049 山門内
109番 芹久保観音堂 聖観世音菩薩   小千谷市真人町戊 芹久保集会所の北西600mくらい
110番 般若寺(大日堂) 聖観世音菩薩   小千谷市真人町724  
111番 池雲山 西岩寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 小千谷市岩沢2034  
112番 岩沢山 不動寺 如意輪観世音菩薩 真言宗智山派 小千谷市岩沢765 越後88霊場
113番 貴福山 真宗寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 小千谷市川井53  
114番 駒形山 妙高寺 愛染明王 曹洞宗 小千谷市川井114  
115番 願入観音堂(十二社) 観世音菩薩   十日町市東下組3149 十二社の境内
116番 平観音堂 聖観世音菩薩   十日町市東下組1589  
117番 鶴嶺山 広大寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市下組3653 魚沼33観音
118番 下山観音堂 聖観世音菩薩   (下山) 117番に移動
119番 観音寺 観音堂 聖観世音菩薩   十日町市下条4丁目809 墓地内のお堂
120番 為永柳堂 聖観世音菩薩   十日町市下条4丁目832 山根集会所
121番 原村観音堂 聖観世音菩薩   十日町市下条2丁目361 天満宮の境内
122番 廿日城観音堂 聖観世音菩薩   十日町市下条2丁目55 廿日城集落開発センター向かい
123番 反目観音堂 聖観世音菩薩   十日町市下条2丁目853  
124番 野頸観音堂 十一面観世音菩薩   十日町市下条1丁目613  
125番 天滝寺 地蔵菩薩 天台宗寺門派 十日町市下条1丁目682 廃寺、個人宅内
126番 轟木観音堂 聖観世音菩薩   十日町市中条己146  
127番 蕨平観音堂 聖観世音菩薩   十日町市新座乙1923 林の中
128番 花水観音堂 馬頭観世音菩薩   十日町市中条乙808  
129番 龍王山 長泉寺 十一面千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市中条乙3141  
130番 桂沢山 円通寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市中条1022  
131番 尾崎観音堂 阿弥陀如来   十日町市尾崎222-1 尾崎集落開発センター
132番 真福寺 聖観世音菩薩 曹洞宗 十日町市新座甲798  
133番 両沢山 新座寺 大慶院 大日姥婆尊 天台宗寺門派 十日町市新座甲886  
結番 臨泉山 神宮寺 十一面千手観世音菩薩 曹洞宗 十日町市四日町1300 四日町観世音、魚沼33観音

 

札番 御詠歌
1番 補陀落や 岸打つ波は 智泉寺の 美佐嶋山に 響く瀧津瀬
2番 霞晴れ 水も波風 治まりて 月澄み渡る 中沢の庵
3番 登らねど 名は高山の 夕嵐 漏らさで悟れ 法の響きを
4番 足曳の 山本巡る 折からに 覚束無しも よぶことりかな
5番 月影の 諏訪の山辺に 澄みのぼり 蛍消え行く 古寺の沢
6番 たのもしや 誠の時は 西よりも 弥陀の聖衆は 来たり迎へん
7番 紫の 雲に仏の 来迎寺 参る心は 浄土なるらん
8番 月も日も 霧立沢に 輝きて 筆に及ばぬ 絵堂寺かな
9番 造り置く 罪も消へ行く 露池の 浮草軽ろき 身こそ安けれ
10番 もとよりも 紅葉の色は 赤倉の 誰染めねども 花に勝れり
11番 大池なる 蓮の花に 置く露は さながら玉の 光なりけり
12番 菅沼の 濁りに染まぬ 月影を 心の水に 映してや見ん
13番 夜もすがら 玉を貫き 落ちる水 月や壊るる 軒の雫は
14番 吾が願ふ 心の内は 虚木に 法の花咲く 頼もしの宮
15番 春過ぎて 梅も桜も 散り行けど 一人深山の 花の長里
16番 秋の日は 鹿の妻恋 笹の沢 逢ふ夜霰と 時雨待つらん
17番 植えてみよ 夏の田麦に 秋の稲 法の種とて 実らぬはなし
18番 妙なりや 法の蓮の 華筏 中出山より 渡る浮島
19番 玉の緒の 明日をも知らぬ 身ながらも まず二つ屋に 宿を借りの世
20番 さざなみや 志賀寺浦を 尋ね来て 昔ながらの 白髭の山
21番 聞くなら苦 三途の川路 過ぎ行くと 思ふ心に 頼め仏を
22番 無き人の 記しを尋ぬ 塚原の 草場の露や 涙なるらん
23番 琵琶懸の 調べの声に 堪えずして 月に音信 かへるかりがね
24番 ほのぼのと 夜をも明石の 朝霧に 船押し浮かべ 漕艫沢かな
25番 東雲の 大黒沢の 迷ひ路を 曇らで照らせ 山の端の月
26番 隔てなく 一味の雨は 注げども 柳は緑 花は紅
27番 後の世の 菩提の種を 蒔きの脇 花の台に 木の実なるらん
28番 補陀落は 観泉院と 拝べし 瑠璃の玉水 流れ清さよ
29番 憂かれただ 有呆間敷(ありはつまじき) 世の中に 心を留むる 身こそはかなし
30番 すずろにも 市野沢辺に 春の来て 錦をさらす 谷川の水
31番 あな尊うと 法の誓ひに 逢うたじま 般若の船に 誰かもれなん
32番 兼ねてより まさかの時を 頼み置く 無畏の力を 合わせたまへや
33番 轡(くつばみ)を 心の駒に ゆるさずば 法の馬場にも 攻め入てみん
34番 萬世の 願ひを納む 水沢の 巌の肩に 苔のむすまで
35番 補陀落や 岸打つ波は 泉龍寺 倉俣山に 響く瀧津瀬
36番 罪咎を 拭う漆の 白羽毛に 心の垢は 残らざりけり
37番 法の道 尋ね暮らした 我が心 清津の波に 身をやひたして
38番 藻塩草 書く間もあらじ 吾が願ひ 後の世かけて 叶えたまへや
39番 漏らさじと 花の色香を 清田山 月の光を なにと惜しまん
40番 法の種 植へて耘ぎる 田代には 花咲き実なる 時ぞたのもし
41番 重地より 仏になると 聞くからに 参る吾が身の たのもしきかな
42番 東光の 万八千を 照らせしも 迷ひの闇を 晴らさんがため
43番 朝日さし 夕日輝く 堂平 霧も霞も 晴るる山風
44番 風吹かば 其の日な咲そ 桜花 源内山に 散るはをしきに
45番 皆人の 衣に着けし 見玉をば 知らでぞ迷ふ 六の巷に
46番 たやすくも 仮の宿りに 旅寝して 浮き世の夢を いつか見はてん
47番 有漏地より 無漏地へ通ふ 中深見 漏らさで渡る 法の船かな
48番 龍源の 玉をば得ても かへるべし きわめかたきは 祖師の心よ
49番 大竜の 一味の雨は おしなべて 葉に随へて おける露かな
50番 月の夜は 松原ばかり 闇夜にて 鹿の子混じりの 雪のむらぎえ
51番 下船渡 御法の船に 棹さして 涅槃の岸に 到る嬉しや
52番 ものうきは 秋風渡る 芦ヶ崎 宿假の世の 夢を覚まして
53番 極楽を 願ふ心に 運ぶなら 花の都は 西にこそあれ
54番 一乗の 来る間に法の 身ならずは 我が子下がりて 迷ひこそせん
55番 濁らねど 名は赤沢の 緑松 常の色は 風にこそあれ
56番 糸桜 誰が爪音か 八千歳に 調べに通ふ 松風の声
57番 千歳経て 松杉本に 迷ひ来て 夢の憂き身に 仮の雨宿
58番 心だに 誠の道に 叶ひなば 法の誓ひに 誰も相吉
59番 我願ふ 蓮花化生の 台には 花の中子は 此の身なるべし
60番 日出山の 霞みは花の 帆掛け舟 乗り得て渡る 鶯の声
61番 千磐破る 神の岩戸を 押し開き 高天原に 月日輝く
62番 ひと筋に 心を懸けて 通ふ堂 運ぶ歩みを 哀れみ給へ
63番 あらやさし 軒の玉水 結ばれて 仏のために 手向けとぞなる
64番 天照らす 月の光の 影写り 小池の水は 鏡なりけり
65番 月見むと 霞を払ふ 掃き沢 心にかかる 山の端もなし
66番 宮の原 振り避け見れば 矢放ちの 船石藤の 花も盛りに
67番 万世の 願ひを納さむ 亀が岡 幾千代かけて たのもしき哉
68番 補陀落や 岸打つ波は 善福寺 大井平にや 響く滝津瀬
69番 谷川に 峯の松風 通ふらん いつも絶えせぬ 法の響きや
70番 父母の 恵みも深き 子種川 弘誓の船を 共に渡らん
71番 こことても 同じ雲いの 羽倉山 松風寒き 音和清水
72番 夏河や すべて久しき 寺石を 居ながら見るぞ 苔のむすまで
73番 自ずから 立つ白波の 足滝や 法の誓ひも 深くなるらん
74番 つつがなく 先穴山を 過ぎにけり いともかしこき 旅の浦人
75番 朝日差す 小岡の山は 紅葉して 錦に包む 鏡なりけり
76番 雁がねの 冬は越路に 帰へりきて 雪の白きを 住家とや成す
77番 来てみれば 心も留まる 滝の水 浮世の塵を 洗い流して
78番 急げ人 御法の船の 出でぬ間に 鹿渡り過ぎ 花の都へ
79番 潔き 五障の雲も 晴れ行きて 月澄み渡る 阿寺井の水
80番 宮中の 神もあわれと 思ぼし召せ 浮世と知て 渡る浮き身を
81番 山の端に 隠れし月の 現われて 普く照らす 堀の内まで
82番 もろこしに 長き齢を 保ちしも 慈眼福聚の 菊の下露
83番 目隠しに 植へて年経る 杉並も 安養界の 宝樹なるらん
84番 吾が心 姿形の あるならば さぞや人目の 醜かるらん
85番 鉢開く 僧をば思ふ 木のはしと 頭陀の玉鉾 印べなりけり
86番 風吹けば おきつ白波 高嶋や 知らでぞ渡る 天のつり船
87番 長楽の 鐘の響きを 聞くときは 浮世の夢を 覚ましこそすれ
88番 快く 駒の勇める 鐙坂 法の手縄の 引くに任せて
89番 中々に 秋の田中の 仮初めも 仏の御名の 忘られもせず
90番 小泉の 流れに清き 月影も 無刹不現の 姿なるらん
91番 ただ頼め 千手の誓ひ 聞く時は 萬の願ひ 叶はぬはなし
92番 立ち出でて ここは烏の 羽黒山 雲に名残りの 思ひ河風
93番 法性の 室嶋なれど 渋海川 有為の波風 立たぬ間は無し
94番 参るより 頼みをかくる 藤沢や 花の台に 紫の雲
95番 人心 夜の間に変わる 飛鳥川 渕は岩瀬と なるも夢の間
96番 青柳の 枝にかかれる 春雨は 糸以て貫る 玉かとぞ見る
97番 山田守る 僧都に似たる 巡礼も 後世の為には たのもしきかな
98番 雨宿を 借しつるよしの 優しさは 仮初めながら 千歳忘れし
99番 長安の 都もなどか 楽しまぬ 五十年の夢の 枕なりけり
100番 万世の 願ひを納む 上野寺 導きたまへ ひとつはちすに
101番 補陀落や 岸打つ波は 長徳寺 吉田山にや 響く滝津瀬
102番 三両の 金を入れて 供養せよ 百味具足の 無きを求めて
103番 仁田の沢 那智の御山を 移しきて 熊野の浦に 立つは白波
104番 小山辺に 聞くに北田の ほととぎす 我が古郷を 共に語らん
105番 降り初めし 鹿子野口に 残るらん 衣更着弥生 雪の村消へ
106番 位無き 真の人の 姿をば 見るやと問はば 何と答へん
107番 いつの世に 仏の宝 積みぬらん 源藤山に 見ゆる金倉
108番 若栃に 法の種をば 植へ置きて 花の紐解く 春風を待つ
109番 芹窪に 宿鴈金の 帰へりなら 吾も都へ 文を寄せなん
110番 願はくば 般若の船に 乗りを得て 千曲の波を すぐに渡らん
111番 市の口 語るを聞けば 梓弓 放たぬ矢先 当たらぬはなし
112番 細石 苔のむすまで 岩沢に つなぎて留めよ 法の御船を
113番 旅衣 やつれ果てたる 姿をば 河井の水に 写してや見ん
114番 執り繋なげ 離れて勇む 駒形を 躑躅が枝に 馬酔木花咲く
115番 願ひ入る 仏の道を 訪ねれば 雲無く照らす 秋の夜の月
116番 何事も 心平らに 行くならば 祈らじとても 守り給はん
117番 たのむべし しめじが原の さしも草 慈悲広大の 誓ひ深きに
118番 誰か来て 鏡を空に 投げ捨てん 下山の端に かかる月影
119番 ひたすらに 頼みをかくる 観音寺 ただ慈悲喜捨の 誓ひ漏らすな
120番 法のため 長く浮き世を 巡る身の 笠ともなれや 山影の庵
121番 鶯の 宿を尋て 北野なる 梅の匂ひを 原村にきく
122番 出でしより 日数を積もる 廿日城 我が古郷の 今は恋ひしき
123番 我が姿 剃目の見えぬ 着藻髪 心の内の 円くなれかし
124番 乗り得ても 手縄ゆるすな 駒の頸 まだ野心は 忘れやらまじ
125番 飛渡の その水上は 天の滝 心の垢を そそがぬはなし
126番 雲の上 轟き渡る 雷(いかずち)も 施無畏の力 頼むぞと聞く
127番 古への 伯夷叔斉 尋ねなば 蕨平に 分け入りてみよ
128番 花水を 仏のために 結び置き 後の世までの 手向けとぞなす
129番 水上は 何国なるらん 長泉寺 誓ひも深き 谷河の水
130番 そのかみも 幾世経ぬらん 円通寺 吾が大君の 御名を留めて
131番 ありがたや 十九の法の 浅からぬ 山の尾崎を 巡る河瀬は
132番 危うさは 浮世を渡る 乱れ橋 踏み外しなば 浮かむ瀬もなし
133番 万世の 願ひを納さむ 新座寺 枯れたる木にも 梅や花咲く
結番 補陀洛や 誓ひも深き 法の庭 石に小金の 花の咲くまで