★伊那三十三ヶ所観音霊場

札所数 34(番号付き札所:33  客番・番外札所:1)
別称 伊那西国三十三ヶ所観音霊場、伊那順礼
関連霊場 伊那坂東三十三ヶ所観音霊場、河東秩父三十四ヶ所観音霊場
公式情報・事務局  
御開帳情報  
開創年・開創者 寛永元年(1624年) 網野藤七
縁起・由緒・開創経緯

◆伊那史叢説 第2篇(市村咸人著:昭和12発行)より抜粋◆

伊那順礼と云う事は、立石村の住人網野四郎左衛門の子藤七が寛永元甲申年(二百八十二年前)郡内の霊場を順礼して廻ったのを始とする。この年以来、伊那順礼と名付け、毎年春秋の好時節に老若貴賤がこの札所を順礼し廻ることが流行り出した。

就中享保二十一丙辰年(百八十年前)藤七が廻り始めてから三十三年目に、二月十八日から三月二十一日まで、伊那三十三番一同に開帳があって、霊験著しく大層な賑わいであったと語り伝えている。

順礼歌も二通りある。舊歌は竹佐村久保田正元の願いによって加藤以三という者がこれを作り、新歌は江都の歌学者可休の作である。

備考

・長野県の伊那地方を中心とした観音霊場になる。

・開創者の網野藤七は、立石村の住人網野四郎左衛門の子とされる人物。

・開創年は、将軍が徳川家光の時代である寛永元年(1624年)になる。

・開創以来、毎年春秋の好時節に老若貴賤がこの札所を順礼し、廻ることが流行り出したとされる。

・ほとんどの札所が無住なので、個人での巡拝は難しい霊場になっている。

・「伊那坂東三十三ヶ所観音霊場」と「河東秩父三十四ヶ所観音霊場」を合わせて、伊那百観音霊場(下伊那郡竜西百観音霊場)と呼ばれる。

情報掲載日・更新日 公開:2018年12月05日  更新:2021年08月18日

 

札番 山・院・寺号 御本尊 宗派 住所 備考
1番 千頭山 立石寺 十一面観世音菩薩 高野山真言宗 飯田市立石140 柿観音
2番 備中山 普門院     下伊那郡阿智村伍和3259 地域管理
3番 慈眼山 衆生院 聖観世音菩薩   下伊那郡阿智村春日2983 廃寺、伊那四国88霊場、中関高齢者いきがいセンター
4番 中御堂     飯田市山本北平 お堂のみ
5番 北御堂     飯田市山本北平 お堂のみ
6番 慈雲山 観音寺   臨済宗妙心寺派 飯田市竹佐866  
7番 大峯山 観音堂     飯田市伊豆木  
8番 崇福山 興徳寺 釈迦如来 臨済宗妙心寺派 飯田市伊豆木70  
9番 藤居寺     飯田市川路4252 墓地内、川路六区第二集会所
10番 中山寺     飯田市中村2445 下中村老人集会施設
11番 小竹庵 観音堂     飯田市大瀬木1450  
12番 清浄山 観音堂     飯田市大瀬木553  
13番 笠松山 真慶寺 聖観世音菩薩 臨済宗妙心寺派 飯田市北方1670  
14番 長熊山 運松寺 阿弥陀如来 浄土宗 飯田市鼎名古熊1914 伊那四国88霊場、伊那12薬師、中部49薬師
15番 松尾山 長石寺   真言宗智山派 飯田市時又329  
16番 松源山 清見寺   曹洞宗 飯田市松尾4043  
17番 旭松庵     飯田市羽場町2  
18番 仏性山 帰命院 阿弥陀寺 阿弥陀如来 浄土宗 飯田市丸山町2  
19番 白雲山 紫雲院 来迎寺 阿弥陀如来 浄土宗 飯田市伝馬町1 飯田観音
20番 圜悟山 正永寺 虚空蔵菩薩 曹洞宗 飯田市江戸町3  
21番 日輪山 観音院 光福寺 阿弥陀如来 浄土宗 飯田市上郷黒田2934  
22番 白雉山 雲彩寺 薬師如来 曹洞宗 飯田市上郷飯沼3335 伊那12薬師、中部49薬師、伊那四国88霊場
23番 迦葉山 鶏足院 聖観世音菩薩 曹洞宗 飯田市上郷飯沼2498  
24番 種月山 耕雲寺   曹洞宗 飯田市座光寺1708 旧 千手山 宗安院
25番 一仏堂 水月庵     飯田市座光寺古市場  
26番 間ケ沢 清水庵   高野山真言宗 下伊那郡高森町下市田20  
27番 観音堂     下伊那郡高森町上市田202 原町陣屋区民会館
28番 吉城山 摂取院 光専寺 阿弥陀如来 浄土宗 下伊那郡高森町吉田706  
29番 慈照庵 聖観世音菩薩   下伊那郡高森町山吹5608 小沼観音、仏手庵
30番 一心庵 観音堂     下伊那郡高森町山吹3786 駒場生活改善センター
31番 如説山 法光院 光明寺 阿弥陀如来 天台宗 下伊那郡高森町山吹8382 中部49薬師
32番 普門山 隣政寺 不動明王 天台宗 下伊那郡高森町山吹2357 山の寺
33番 大嶋山 医王院 瑠璃寺 薬師如来 天台宗 下伊那郡高森町大島山812 中部49薬師
番外 定額山 元善光寺 善光寺如来 天台宗 飯田市座光寺2638 不捨山?、座光如来寺

 

札番 御詠歌
1番 あら尊と 千頭の山の 鐘の声 聞いて菩提を 思い立石
2番 ありがたや ひとまきならぬ 普門院 仏の誓い 頼もしきかな
3番 命には 定まる関の あるなれば 心にかけて 願え後の世
4番 訪ね入る 中の御堂へ 参る身は 頼む心も 後の世のため
5番 後の世を 今ぞ頼みの 北御堂 法の誓いも 深き山本
6番 ひと筋に 千代を込めたる 竹佐寺 仏の恵み 誰もしらやま
7番 ありがたや 導き給え 観音寺 御法の花に 今ぞ大峰
8番 いつ来ても 尊く拝む 興徳寺 松に色沿う 花のふじ山
9番 観世音 誓ひにあいの 深き谷 頼みをここに とどめてぞすれ
10番 中山や 源氏の滝の 音すなり さながら那智の 心地こそすれ
11番 小竹山 松の響きも おのずから 御法妙なる 音楽ぞかし
12番 法の道 尋ね来たれば 大瀬木の 仏の誓い 頼もしきかな
13番 教えある 世に生まれ来る ともがらは これぞ真に 慶びの寺
14番 老生の 運ぶ歩みの 絶えぬ間に 長くも祈れ すぐ癒えさせん
15番 罪科も 波間にそそぐ 時は又 求誓の船も 松尾山かな
16番 名を聞いて 頼みをかけし 清見寺 導き給え 弥陀の浄土へ
17番 昔より 松に花咲く この庵 御法の声も 香りゆかしや
18番 千躰の 仏の誓い ありければ なお後の世を 岩とたのまん
19番 ありがたや 仏はここに 来迎寺 いつも絶えせぬ 称名の声
20番 ひと筋に 参りて慈悲の 円悟山 長き未来を 頼む身なれば
21番 日輪の 恵みも深き 光福寺 尽きぬ大悲の 光なりけり
22番 極楽は 南にあると 心得て 運ぶ歩みの 頼もしきかな
23番 迷う身が 助け給えと 飯沼の 加葉の山に 千代を祈らん
24番 玉の座も 光をここに 耕雲寺 ごんが清水に 影ぞうつろう
25番 そのかみは 幾千代をかけ 古市場 なおも誓いの 末をまつやま
26番 浪の音 松の響きも 間ヶ沢の 流れも絶えぬ 谷川の水
27番 伝え聞く 伊那の架け橋 跡絶えて 仏は今に ありがたきかな
28番 吉田でも 願いをここに 光専寺 念波観音 誓い頼もし
29番 皆人の 後世をと思い 竜の口 さわり小沼の 頼む御仏
30番 六道の 巷に迷う 身なれども 真如の月も 晴れて赤坂
31番 願えただ などか験の なからんや 山吹く風も 御法なるらん
32番 遥々と 上りてここに 隣政寺 踏み染め拝む 釈迦の戒壇
33番

廻り来て 今ぞ誓いに 大島の 瑠璃の光も 浄土なるらん

岩間より 漲り落ちる 不動滝 万の垢を すすぎこそすれ

万世の 願いをここに 納めかし 大悲の誓い 頼もしきかな

番外 またも世に 還り来べくば 国治め 人を助くる 身をぞ得てまし